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社長ブログ 人材コンサルタント25年史

過去の個人情報漏洩事件に関する反省と考察

私の3回の懲戒処分の内、2回は個人情報漏洩の問題です。

1997年頃のことですから、もう10年以上前のお話ですが、部下の過失による個人情報漏洩によって、

ご登録いただいた方に多大なご迷惑をおかけしました。

あらためて、深くお詫び申し上げます。

この問題に関しては、業界のリーディングカンパニーとして、最も早くプライバシーマークを取得し、

社内でも最重要課題として取り組んでいました。

社長・役員をはじめ、我々部長なども、ピリピリと一番神経質になっていた課題です。

それでも、万に一つのような偶然や、コンプライアンスに対する意識が薄いお客様の過失や故意によって

事件が起こってしまったのです。

一つ目は、万に一つの偶然。

こんな偶然はあり得ないという確率なのですが、お客様(求人企業)が、ご登録者を特定できてしまった。

現在では絶対にあり得ない事ですが、10年以上前は、通称「マスク打診」と言うマッチング手法が

行われていました。

ご登録者を特定できる、氏名、住所、連絡先、勤務先などを消した状態で、お客様にご覧いただき、

求める人材像にマッチするかどうか判断していただく。

その上で、お客様(求人企業)が、

「こんな人と会いたい。」

と思われたご登録者に対して、求人説明をした上で、応募の意思確認を行い、ご承諾いただければ、

正式なご紹介となります。

この時に初めて、ご本人を特定できる情報を求人企業に伝えます。

「マスク打診」は、マッチングのチャンスを拡大する意味では、有効な手段の一つでしたが、

万に一つの偶然が起こってしまってから、全面禁止となり、現在に至ります。

私の部下が、あるお客様に対して、通称「マスク打診」を行った時、

お客様:「あれ!! 私、ひょっとして、この人の事、知ってるよ!!」

となってしまったのです。

原因は、打診させていただいた、ご登録者の方が、非常に珍しい大学をご卒業されていた事でした。

このような場合、本来は卒業大学も隠して打診するべきだったのですが、そこまで配慮できませんでした。

その部下やコンプライアンス担当マネージャーと、何度もご自宅に謝罪に伺いました。

ただ、どんなにお詫びしても、起こってしまった事は取り返しがつかない。

我々としては、早く良い求人をご紹介するしかない。

このケースでは、次の転職先が見つかった事が、せめてもの救いです。

二つ目は、お客様(求人企業の人事課長)の脅迫による情報漏洩です。

誰でもご存知の外資系大手A社の元人事課長(後に部長)が、営業担当であった私の部下を恫喝して、

応募意志確認ができていない、ご登録者リストを入手し、自社の営業現場にその書類を回してしまった。

A社の現場の社員の方が、そのリストの中にご友人がいらっしゃるのを見つけて、

「おい、久しぶりだな!! 

お前、今度、うちの会社に来るのか?

お前の書類を見たぞ。」

と、直接電話をされたのです。

こんな電話をもらった、ご登録者の方は、大変驚かれて、

「私は、御社にしか登録していません。

だから、御社から情報が漏れたとしか考えられません!!」

というお問い合わせを、担当CA(キャリアアドバイザー)にいただいたのです。

当然、担当CA(キャリアアドバイザー)は、

「当社は、個人情報の保護に関しては、絶対に社外に漏らしません。

何かの間違いだと思います。」

と、自信を持って対応したのですが、念のため、社内調査をしました。

その結果、私の部下が、A社の人事課長から、

「絶対に悪用しない。俺を信用してないのか? 長い付き合いじゃないか?

在籍社名が入った職務経歴書がないと、書類選考ができない。

だから、お前が持っている、その書類を置いていけ。

そうしないと、今後の取引に関しては、考えさせてもらうぞ。」

と恫喝・脅迫され、それに負けて独断で、個人情報を置いてきてしまったのです。

私は、深夜、自宅で、その部下の上司であった課長から電話で報告を受けて、この事件を知りました。

私:「バカヤロー!!

  なんで上司への相談も無く、勝手な判断で、個人情報を置いてきたりさせるんだ!!

  お前も普段、どんな指導をしとるんだ!!」

それから、すぐに相手の人事課長に、私の自宅に電話させるように指示しました。

人事課長:「どうしたの? こんな深夜に自宅に電話させるなんて。」

私:「バカヤロー!!

  お前が何をしかた、ちゃんと考えろ!!

  人事課長とは思えない、お前の愚かさのために、登録者の方にどれだけ迷惑がかかっとるか?

  お前はわかっとるんか!!」

人事課長:「えー!!一体何の話?」

私:「しらばっくれんじゃねー!!

  お前の馬鹿な部下に聞いただろう!!

  お前、明日俺が行くから、首洗って待ってろ!!

  会社に居ろよ!!」

こんな感じで、その後、ゴチャゴチャなやり取りがありましたが、こんなバカ人事課長より、

大事なのは、情報が漏れたご登録者の方です。

とにかく、事実を整理して、それを直接ご説明し、お詫びする以外にありません。

この事件の経緯書に関しても、A社側の人事の捺印を求め、人事部長と人事課長宛に

訪問しました。

私:「人事部長、この経緯書に捺印してください。

   この事実に相違ないと認めてください。」

人事課長:「部長、私のハンコだったら押しますので、いいですよね?」

人事部長:「絶対に押しちゃ駄目だ!!

       武谷(たけや)さん、長い付き合いでしょう?

       どうして、そんな本当の事を、登録者に伝える必要があるの?

       お互いに何のメリットも無いじゃない?

       どこから漏れたか知らぬ存ぜぬで、しらばっくれればいいじゃない?」

私:「天下のA社の人事部長が、本気でそんな事を言ってるんですか!!

  被害者に真実をお伝えするのが、最低限の誠意じゃないですか!!

  短期的なメリットとかデメリットの問題じゃない。

  これは、企業姿勢の問題ですよ!!」

人事部長:「そんな姿勢、僕には理解できない
な。

       とにかくハンコは押せないよ。」

こんな、バカ人事部長と人事課長が、日本法人とは言え、世界的企業の人事責任者でいいのか!!

ただの保身だ。

あきれ果てて、会社に帰りました。

一番大事な被害者である登録者の方とお目にかかりました。

担当CA(キャリアアドバイザー)のCさんと一緒でした。

Cさんは、とても人間性豊かで評判の良いCAです。

転職後も、登録者だった方々を集めて、飲み会 兼、情報交換会をやるぐらい慕われている人です。

登録者との心理的距離感が大変近い人です。

お目にかかった登録者の方は、大変しっかりした立派な方でした。

大手のIT系営業マネージャーで、仕事もおできになりそうです。

こちらから、事件の経緯に関して、ありのままをお話ししました。

その上で、恫喝・脅迫されたとはいえ、そもそも個人情報を求人企業に渡してしまった事に対して、

深くお詫びしました。

静かにお聞きになっていらっしゃいましたが、ご本人のお怒りは大変大きく、

「私は、信頼して御社に自分の転職活動の支援をお願いしました。

しかし、その信頼は全く消えてしまいした。

いかなる事情を説明されても、私の転職活動を複数の知人が知ってしまった事実は消せません。

また、その噂が、今在籍している会社にも伝わる可能性があり、そうなると私は今の会社にも

居れなくなります。」

全く一言も無かったです。

実際に被害を受けた方の悩み・苦しみ・怒りは、想像を越えるものがあります。

担当CAのCさんのショックも非常に大きく、呆然としていました。

個人情報の保護は、この事業で最も大事にしなければならない問題です。

業界全体の社会的な存在価値を問われる問題です。

安心してご登録いただけるように、今後も再発防止に全力を尽くさなければなりません。

大変なご迷惑をおかけした皆様、重ねてお詫び申し上げます。

誠に申し訳ございませんでした。

*前述のA社の人事部長と人事課長は、クビになりました。

合掌。

※弊社HP↓。

http://www.agent-shokai.jp/

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プロフィール


武谷 広人
人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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