今日は、1992年ぐらいに、新橋本社のキャリアアドバイザーをやっていた頃の話です。
私もまだ、30歳か31歳ぐらいでした。
ある日、四国在住の転職希望の方から、問い合わせ電話がかかってきたのです。
当時は頻繁に、転職希望の方々からの問い合わせ電話がかかってきました。
まずは、受付さんが対応してくれるのですが、彼女たちが対応できないような、難しい質問を
される方に関しては、我々キャリアアドバイザーが、電話を換わって対応していました。
仮に、この方をAさんとしましょう。
私:「お電話換わりました。キャリアアドバイザーの武谷(たけや)と申します。」
Aさん:「もしもし、私は現在、四国に住んでおりますAと申します。
今は、N証券の支店で営業をやっているのですが、最近、転職を考えるようになりまして。」
私:「そうですか? N証券さんの営業は大変でしょう?」
Aさん:「いや、仕事が大変なのはいいのですが、別にやりたい事があるんです。
その可能性について伺いたいと思いまして。」
私:「どんな事をされたいのですか?」
Aさん:「ベンチャー企業に転職したいと考えております!!」
私:「ほー、N証券さんを辞めて、ベンチャー企業ですか??」
Aさん:「はい!! 私は現在26歳ですが、可能性はありますか?」
私:「可能性は十分にありますよ。」
Aさん:「そうですか!!
それでは、土曜日か日曜日に、そちらに相談に伺ってもよろしいですか?」
私:「わざわざ四国からですか?
うちは、大阪にも兄弟会社の関西リクルート人材センターがありますから、
そちらの方が近いですよ。」
Aさん:「いや、どうせ転職するなら、大きな市場がある東京で働きたいんです。
大学も早稲田でしたし。」
私:「わかりました。
今度の土曜日は、私も出勤しますが、ご都合はいかがですか?」
Aさん:「はい。大丈夫です。伺います!!」
こんな感じで、わざわざ四国から飛行機で東京に相談に来られたんです。
約束通り、土曜日の午後にお越しになったAさんは、さすが、N証券さんの営業マンだけあって、
ビシッとスーツが決まり、背筋が伸びた礼儀正しい好青年でした。
会った瞬間に、
私:「この人は、どこにでも転職できそうだな。」
と思いました。
私:「わざわざ四国からお越しいただき、ありがとうございます。」
Aさん:「いえ、こちらこそ貴重なお時間を頂戴して、ありがとうございます。」
私:「早速、先日の電話の続きですが、なぜ、ベンチャー企業を志望されるんですか?」
Aさん:「はい。現在、N証券の営業で、中小企業回りをしております。
その中で、多くの経営者の方々とお目にかかる機会があります。
経営者の方から、いろいろなお話を伺うと、皆さん、本当にご苦労されていらっしゃるし、
魅力的な方が多く勉強になります。
そんな毎日を過ごしている内に、私自身が何とかベンチャー企業経営のお手伝いが
できないものか? と考え始めたんです。」
私:「N証券さんの営業マンとしてではなく、実際にベンチャー企業に入社されて、経営者の方の
手助けがしたいと思うようになったんですね?」
Aさん