3日前ぐらいに書きましたが、リクルート人材センター(現リクルートエージェント)が、
1991年から1993年ぐらいに、経営危機に陥り、3年連続大赤字、
従業員数が450名から150名に激減するという、深刻な状況になりました。
そんな中、私は、自信もやる気も無くし、毎日を漫然と過ごしておりました。
確か、電気・電子・機械グループのマネージャーをカタチだけやっていました。
その時のメンバーには、今でも申し訳ないと思います。
そんな状況ですので、当然、業績など上がるわけもなく、メンバーの評判もすこぶる悪く
左遷されました。
行く先は、新たにできた、ガラクタ管理職だけのCP(キャリアプロモーション)3部と言う
わけわからん組織です。
配属されたのは、人事部長だったTさん、建設・土木・化学グループのマネージャーだったM君、
ITグループのマネージャーだったT君、そして、私の4名です。
この時点では、リストラ対象のマネージャーだったのは明らかです。
だって、「何をやるかも自分たちで決めろ。」と言われていたんですよ。
笑えますよね。
でも、この中で、若くて能力もあり、まだ有望だったT君は、すぐに社内システムのマネージャーとして
異動してしまい、彼はその新システムを立ち上げて30歳で独立。
今は、起業した自分の会社を立派に上場させています。
残った、我々三人は、とりあえず、「管理職の紹介」をやろうか? という話になりました。
Tさんは、有望なオーナー系成長企業に経営幹部を決める。
M君は、経理・財務系の管理職を決める。
私は、外資・内資含めて、通信業界に管理職を決める、と一応の方向性を決めました。
Tさんは、この時期の仕事で、ファーストリテイリング社の柳井代表と運命的な出会いがあり、
今では、独立されて、立派な紹介会社とエグゼクティブ・サーチ会社を経営されています。
M君は、この時期から、経理・財務系管理職紹介のスペシャリストとなり、今では、
リクルートエグゼクティブエージェントで活躍しています。
私は、最近までリクルートエージェントの人事部長で、当時は法人営業(RA)だったF君に助けられました。
F君が、AT&T(ルーセント)とか、エリクソン、モトローラとか、通信業界の有力企業の求人を
開拓してくれました。
そこで、出てきたマネージャークラス(年収1000万円以上)の求人を、私がキャンディデートを探して
面談して決める、という役割分担です。
でも、通信業界の管理職という人が、過去のデータベースの中にほとんど存在しませんでした。
そこで、F君と一緒に胡散臭い名簿屋さんに、学会名簿や通信系の企業名簿などを買いに行き、
その中からキャンディデートをあぶり出す事から着手しました。
これは、今思い出しても、普通の登録型紹介とは違う意味で、おもしろい仕事でしたね。
サーチとか、スカウト活動は、キャンディデートが、リクルートグループのお客様企業に在籍されている
可能性が極めて高いので、社内では禁止されていましたが、勝手に動きました。
具体的には、電気情報通信学会の名簿の中で、35歳から45歳ぐらいで、N(日本電気)、F(富士通)、
O(沖電気)、H(日立)に在籍中の管理職対象に、ちょっと変わったDMを打ちました。
DMの内容は企業秘密とさせてください。
結果は、2000通送って、返信が200通!!
DMとしては、凄い返信率でした。
そこで、私は、返信していただいた人材に対して、土日に自宅からアポ取り電話を、1年近くかけ続け、
100人程度の方々とお会いする事ができました。
皆さん、東大、東工大、早稲田、慶応など、理系のエリートばかりです。
技術的な話をしても仕方ないし、理解できないので、そんな話には適当に相槌を打ちながら、
私:「ここに来て、私とお会いいただいたのは、現状に100%満足できないことがあるんですね?」
という話をして、そこを深く伺うようにしました。
接触さえできれば、登録型もサーチ型も、「そんなの関係ねー。」 です。
「転職理由に話を集中させる」だけです。
登録型よりも、手間はかかるし、フォローも長期間に渡りますが、なんかワクワクしました。
明らかなメリットは、下記のような事です。
1 ご紹介したら、ほとんど内定する。
2 FEE(成功報酬)が高い。
3 高いポジションで入社されるので、その後の企業とのリレーションも濃くなる。
4 優秀な知人・友人ををご紹介していただける。
ある内定されたNECのバリバリの管理職の方と、お祝いの会食をした時に励まされました。
「武谷(たけや)さん、私の部下にもアプローチしたでしょう?
これからも、どんどんやってください。
優秀な人材が、飛び出す勇気が無くて、たくさん腐っていくんですよ。
私を何度も慰留した取締役も、最後はあきらめて、こう言ってました。
『そうか、やっぱり転職するのか? 仕方ないなー。俺も、もう少し若い時は、いろいろ誘われたけど、
今思えば、君みたいに飛び出せば良かったかなー。頑張れよ。』と。
武谷(たけや)さん、できるだけ、世の中を揺さぶってください。
埋もれた優秀な人材に、新たな活躍の場を提供してください。
それが貴方の使命ですよ。」
ポイントは、できるだけ狭い業界に絞る事ですね。
インフラ系の通信なら通信。色気を出して、隣のIT業界などに手を広げたら失敗します。
画用紙が小さいほど、点が線になり、線が面になりやすい。
大きな画用紙では、そうなりにくいですからね。
結局、手を広げると、無駄が多くなるばかりで、成果が上がりません。
この辺は、私の師匠の栢野(かやの)さんの、ランチャスター経営塾にでも行かれてみてください。
http://blog.livedoor.jp/kaya0169/
こんな感じで、久しぶりにプレイヤーをやって、仕事を気楽に楽しめたのは良かったです。
少し元気も出てきました。
また、左遷されている内に、脇から他のマネージャーのマネジメントを客観的に見ることが
できたのも大変良かったです。
素晴らしいリフレッシュ期間でした。
左遷してくれた会社と、励ましてくれたお客様、そして、助けてくれたF君に感謝します。
ありがとうございました。
合掌。
※弊社HP↓。