今日の話は、私が入社5年目(1988年)の頃の話です。
勝手なアメリカ出張から帰国後、一応、簡単な「出張報告書」を書き、常務に提出しました。
上司のN部長にも提出したつもりだったのですが、「出張報告書」の内容が簡単すぎたのか?
どうもご機嫌が悪い。
N部長:「武谷(たけや)君、ちゃんと出張の報告をしてくれよ!!」
私:「えー、もう報告書は出しましたよね?」
N部長:「もっとちゃんと報告してくれよ!!
そもそも、上司の僕の承認も無く勝手に行ってきたんだから!!」
私:「えー、全社マネージャー会議で、『アメリカに行ってきます!!』と宣言したでしょう?
誰も文句言わなかったじゃないですか?」
N部長:「そういう簡単な話じゃないんだよ!!
だいたいね、君は会社と言うものをわかってないよ!!
ちゃんと上司や役員に書面で決済を得た上で、はじめて出張できるんだよ!!
君には、承認を得る義務と、上司に出張報告をする義務があるんだよ!!」
私:「常務にもNさんにも、報告書は出しました!!
そんなの時間をかけて書いている暇があったら、もっとお金になる仕事しますよ!!
報告書の内容でわからない点があったら、個別に説明しますから質問してください。」
N部長:「全くこの会社の社員教育はどうなっているんだ!!
常務にも君の事は言っておくぞ!!」
私:「はい。どうぞ。」
N部長は、一橋大学卒で財閥系企業の国際畑出身。頭が良くて、大変柔軟なところがあり、
さすがと思う事もありますが、今回のように、上下関係とかヒエラルキーとかにこだわるんですよ。
細かい事でも報告しないと機嫌が悪くなるんです。
簡単に言うと小者です。
そこで、今日の本題ですが、同じセクションにHさんと言う大先輩のマネージャーが居たんです。
リクルートの求人広告系一筋で、伝説的な営業マンでした。
最後は、営業所長をやっていたのですが、リクルートの採用支援事業も利益重視で、お客様の
細かいニーズに応えにくくなっていました。
「とにかく、儲かるメイン商品(当時のリクルートブック)を売りまくれ!!
そんな個別の企業の会社案内、入社案内のような企画モノは原価率が高いので売るな!!」
こんな営業方針が、当時の専務で事業部長(後の鬼社長の河野栄子さん)あたりから出ていたんでしょう。
Hさん:「昔はさー、いろいろ自由に企画モノも提案できて、お客さんも喜んでくれたし、
おもしろかったけどなー。最近は、利益利益でおもしろくなくてさー。
そんな事もあって、俺は辞めることにしたよ。」
男気があり、義理人情に厚く、お客さんを大事にする人ですから、利益優先でお客さんの様々な
要望に応えられない事に対して、息苦しさを感じていたんでしょう。
普通のサラリーマンは、それでも会社を辞めませんが、辞めるところがHさんの魅力です。
当時のリクルート人材センター(現リクルートエージェント)としては、
「優秀なH君を、辞めさせるのはもったいない。
リクルート人材センターは小さくてグループの中では注目されていないけど、
その分、自由度は高い社風を維持しているので、何とかこっちで活躍してもらえないかなー?」
という色気があって、Hさんにお越しいただいたと思うのです。
しかし、Hさんの基本的な考えは変わらず、近い将来、独立される方向で歩き出されたのです。
Hさん:「どうなるかわかんねーけどな。俺も拾ってくれたリクルート人材センターには恩義があるし、
ここでプレイヤーとして業績を上げながら、自分の身の振