近い将来、書かせていただきますが、私が新規開拓して、わずか1年で年間1億円を越える
トップクライアントになったS社様という会社があります。
一部上場企業の戦略子会社なのですが、お客様と組織図をベースにご相談させていただき、
30名だった会社が500名を越える立派な会社になった成功事例があります。
今日は、このS社に対するサービスを発端に、私が入社5年目に、
最年少キャリアアドバイザーになった経緯を書かせていただきます。
S社は住宅販売会社だったのですが、中途採用がうまく行かずご苦労されていました。
住宅営業と住宅設計、施工管理という、不人気職種でした。
当時は、ビーイングのカラーページに何千万円もかけて掲載し、応募はわずか数名、
採用は良くて1回当たり1名というような惨憺たる状況でした。
そんな折、私が訪問させていただき、人材紹介サービスの大型パッケージ企画を
ご提案させていただきました。
鬼マネージャーSさん、天才営業マネージャーNさん、常務のIさん、営業部長のHさん、
当時の年輩キャリアアドバイザーの方々の協力もあり、この人材紹介サービスの
パッケージ企画がうまく機能し、100名以上の人材採用を成功に導く事ができました。
ただ、何より大きかったのは、S社の社長、取締役総務部長、総務課長、現場の管理職の方々などの
採用に対する真剣な取り組みとご協力でした。
S社の社長と初めてお会いした時に、言われたことを今も忘れません。
社長:「おー、君たちがいろいろ骨を折ってくれているらしいな。
会社の立ち上げは、お金と人だ。
人の採用にはお金がかかる。
腹をくくって、お金も手間もかけないと、何も始まらない。
その代わり、よろしく頼むぞ。」
S社長の実家は、誰もが知っている大きなお漬物メーカーです。
幼少の頃から、お父様に生きた経営学を叩き込まれたそうです。
大変厳しくも優しい社長でした。
さあ、どんどんお取引が拡大したのは良いのですが、バブル期になって人材不足が
深刻になってきました。
ただでさえ不人気職種の住宅営業、設計、施工管理は、建設業界の好景気の影響で
益々人材が枯渇してきました。
社長:「お金は何千万円も払ったのに、最近はパッとしないじゃないか!!
お前は詐欺師か!!」
私:「いえ、それは誤解です!! 御社を最優先して取り組ませていただいております。
しかし、好景気の影響で、御社にとっての採用環境が厳しくなってきました。」
社長:「そんな事を今更言われても理由にならん。
お金も払ったし、うちとしても最善の努力はしとるんだから、お前もプロとして
責任を果たせ!!」
私:「わかりました。言い訳はやめて、新しい提案を考えます。」
実際はもっと激しく、バカだの、詐欺師だの、ウソつきだの、2時間ぐらい罵倒されました。
しかし、その後、社長は、
「おい、ちょっと飯でも食いに行くぞ。」
とおっしゃって、ディナーをご馳走になりました。
社長:「さっきはボロクソに言ったが、頼れるのは、お前のところだけなんだから、
何とか助けてくれ。しっかり頼むぞ。」
と、暖かく激励されました。
よし、とにかく新しい提案をして、苦しい局面を打開しなければ。
そこで考えたのが、下記のような提案でした。
私:「当社の登録者募集費用を、御社にご負担していただきたい。
そうしていただければ、登録された方を優先的に御社にご紹介します。
次回のビーイングで、住宅・不動産業界特集が組まれます。
そのビーイング内の当社の登録者募集広告の費用を、御社にご負担いただきたい。
そうしていただければ、キャリアアドバイザー全員に、御社を最優先でご紹介するように
号令をかけます!!」
総務部長・課長:「うーん。確かに今までに無い提案だけど、本当にお宅のキャリアアドバイザー全員が
当社を優先的に紹介してくれますか?
過去の実績では、協力的な人も居るが、そうでない人もいるよね?」
私:「大丈夫です。今回は、事業部長の常務から直々に号令をかけて
もらいます!!」
総務部長・課長:「まあ、座して何もしないより、トライしてみるか?」
私:「ありがとうございます。全社の力を結集して成果を出します!!」
全く前例の無い企画ですが、S社には、既に過去に事例がある提案は出し尽くしていました。
S社にとっても、私にとっても大きなギャンブルでした。
そして、いよいよ 「ビーイングの住宅・不動産業界特集」の号が発売されました。
そこで集まった転職希望の方々は、約80名でした。
まずまずの効果です。
それから、その80名の方々のリストを、当時、新橋本社の年輩のキャリアアドバイザー10名に
配布しました。
迅速にフォローしていただき、早く面談に呼び込んで、S社にご紹介するように依頼しました。
しかし、その後、3日経ち、5日経ち、1週間経ちましたが、全く新たな人材のご紹介が出て来ません。
10日経って、私の我慢の限界が来ました。
新橋の年輩キャリアアドバイザー一人一人に個別にフォロー状況を聞いて回って、あぜんとしました。
こんな答が返って来たのです。
Aさん:「1回電話したけど、奥さんが出たのでそのままだよ。」
Bさん:「我々は、来社されるお客様の対応だけで精一杯だよ。」
Cさん:「そんな薄い情報だけでは、フォローできないよ。」
私:「そんなのは当り前でしょう!! 昼間に電話しても、ご本人が居るわけないでしょう!!」
「精一杯!! 一体、貴方たちは何時まで働いてますか!!
6時には帰ってしまうじゃないですか!!」
「薄い情報から手繰り寄せて、面談して、キャリアシートを書いていただくのが、貴方たちの
仕事でしょう!! そんな人が来るのを待っているだけなら、誰でもできますよ!!」
もう完全に頭に来た!!
この会社は終わりだ!!
我々の営業部隊と、キャリアアドバイザー部隊の動き、指示命令系統、サービスマインド、
全てがバラバラだ!!
もうこんなキャリアアドバイザーに頼んでいる時間は無い。
俺が自分でやるしかない!!
*20年前は、こんな情けない状況(社内体制)だったんですよ。
当時の上層部は、
「若手社員が、年輩キャリアアドバイザーの仕事の領域を侵害してはならない。」
などと言っていましたからね。
「営業マンは、登録者のキャリアシートも閲覧してはいけない。」
と言うキャリアアドバイザーも居ました。
この後、その聖域と言うか領域を、私が侵害して、とんでもない事になります。
その事に関しては、明日、書きます。
合掌。
※弊社HP↓。