今日は、「クレームの嵐」は1日お休みにして、
急遽、お世話になった人生の大先輩のKさんに関して書きます。
一昨日の土曜日の朝、ある人材紹介会社の事業部長のSさん(ニックネーム)から電話がありました。
Sさん:「昨日4月18日(金)にKさんが亡くなりました。
お通夜は日曜日の夜、告別式は月曜日です。
ご本人が、生前に書き残された名簿があり、そこに武谷(たけや)さんと、
大東さん(旧姓です。家内です)の名前が載っているそうです。」
私:「え?? どういうこと? 」
あんなに元気だったのに。嘘だろう!!
一昨年、今の会社を設立した時に、もうお一人の大先輩とご一緒に、狭い事務所にお越しいただき、
私たちを励ましてくださった、あのKさん。
K:「暑いからビールでもどうですか?」
とおっしゃって、銀座のサッポロビールで四人で飲みました。
大好きな奥様とのヨーロッパ旅行を楽しみにされていました。
まるで、昨日の事の様に思い出されます。
あの昭和一桁のお生まれとは思えない元気さ、フットワークの良さ、シャープな頭脳。
スマートでダンディー。
ポールスチュワートのスーツを見事にさりげなく着こなし、ワイシャツはいつもストライプ、
10年以上は使い込んでいるだろうエルメスのカバンを持たれていました。
Kさん、Kさんと、女性社員のファンも多かった。
東京大学の理系卒で、大手電器メーカーでご活躍。
関連企業の社長まで務められてご勇退。
その後、リクルート人材センター(現リクルートエージェント)に転職されて来られたのが、
もう20年ぐらい前でしょうか。
どんな時も優しい微笑を絶やさず、我々のような礼儀知らずの生意気な若造たちに、
丁寧に電気・電子・機械などのメーカーの事や技術的な専門知識をわかりやすく教えてくださった。
今でもKさんが15年前ぐらいに作られた職種別インデックスが、私の机の引出の中にあります。
今でも使えるわかりやすい解説書。
みんな、Kさんを慕っていました。
同僚の先輩方にも慕われていました。
若い社員の営業にも気持ちよく同行してくださった。
気軽に飲み会にもお付き合いいただいた。
品があり、メーカーや技術の事も熟知されているので、お客様もファンにしてしまった。
東大卒で元社長と思えない謙虚さ、誰に対しても変わらぬ礼節。
威張ったり、怒ったりされた所を見た事が無い。
豊富で幅広い知識。聞けば何でも教えてくれる。
技術に限らず、国内外の歴史や政治・経済に至るまで。
時々、外国からの電話にも出られて、スラスラと英語で話されていた。
「国家の品格」と言う書籍があるが、「日本人の品格」という言葉を、Kさんのために捧げたい。
このような上質な日本人が、戦後の繁栄を支えてくれたんだ。
それに比べて我々の世代は、何を後世に残せるのだろう?
喪主の奥様の最後のご挨拶に、ご家族を大切にされていたKさんの愛情深さが滲み出ていた。
奥様もお幸せだっただけに、とてもおつらいでしょう。
Kさん、ありがとうございました。
安らかにお休みください。
いや、もう早速ヨーロッパに旅行される準備をされているでしょう。